R5BYの天雲です。
■コメント
酵母7号酵母 米 改良雄町 精米60% 度数13.8%
このお酒はあえて小島杜氏からのメッセージを掲載させて頂きます。飲んで感じてください。ご参考にどうぞ。
R5BY天雲がリリースです。
通常通りに発酵した天雲を醪2本の合併です。
サケル対策で乳酸菌と協会酵母を添加して醪の経過も早めました。
味わいが大きく変わるかと思いましたが3日麹や雄町の特徴は継承されて天雲の味になりました。
乳酸菌と協会酵母添加で味としては柔らかい香味の好影響を感じ、野生酵母は数が減ったのでスモーキーさやスパイシーさは抑えられた影響です。
長期もろみができなかったものの、やはり乳酸菌添加によるDアミノ酸の増加と7号酵母のイソアミルで柔らかさや包容力で、天雲としての性格は保証された印象です。
乳酸菌と酵母添加によって醪の発酵期間を短縮するという発想は現代醸造的で効果的だったんだなと再認識しました。
同時に私が進めていた天然醸造×長期もろみの組み合わせも妥当なものだったと確認することができました。
次回どうするかまだまだ考えるところですが、どの選択をするにしてもおおらかになって酒造りの幅が大きく広がりました。
酵母添加によって今回の天雲は現代清酒側に傾いた印象があり、私の中でちょっと物足りなさを感じました(乳酸菌添加に香味的ネガティブは感じなかった)。そこでほんの少し土雲を加えました(原酒に5%ほどでさらに加水するので酸度は通常の日本酒とほとんど同じです)。
そのブレンドでR5BYという全体の時間を表現する、現代醸造と天然醸造のあいだに存在する天雲として、納得のできる内容と香味になりました。
けっこう面白い酒で、R5BYが過去になったときにかなり期待できる酒です。
今まで通りの天然醸造やもろみができなかったので、R5BY最高の出来ですとは言えませんが、その時、精一杯の酒造りをしたと思います。
例年よりもタンクでの貯蔵期間が短いので若さがあると思います。この辺は他の酒と同じで、若い頃も熟成した頃もどちらも良さがあるので、常温保存や開栓放置などで進めていただけると良いかもしれません。2回目の瓶詰めは少し先になるので、こちらはまた少し熟成度合いが進みます。
◎テイスティング
香:イソアミル、エステリーで少しマスカットや青リンゴ、米こうじの甘い香り、無窮天穏的な香りでこれらがまだ若くフレッシュな印象
味:米麹の柔らかい旨甘味、マスカット系の吟味、グレープフルーツ、乳酸、シャープさ、若さ 現状だと若さによって生酛2火というより純米吟醸の味わいかなと思います。
飲んでいくと精米60%の頃の齋香の雰囲気があり28BYや29BYの齋香2火を思い出します。
時間が経つと近年の天雲のような生酛寄りにシフトしていくと思います。酒として見るなら現在も良いし、従来の天雲として見るなら少し先にポイントがあると思います。
詰め直後に利き酒したので、皆さんのところに届く頃には天雲度合いが良い具合かもしれません。天雲、昔の齋香2火、縁起が合わさった味のような気がします
■おススメの飲み方
燗
・蔵元名(所在地):板倉酒造(有)(島根県)