焼酎には様々なバリエーションがあり、原料や飲み方などを工夫することで、日頃から飲まれている方から初めての方にもおすすめできる懐の深さを持っています。
蒸溜酒であるために糖質やカロリーを心配することなく、健康志向の方にもピッタリなお酒だと言えるでしょう。
そしてその中でも特に幅広い方に注目していただきたいのが「黒糖焼酎」です。
黒糖焼酎は甘みのある香りから女性にも人気が高く、深い味わいは焼酎好きも唸らせる魅力を持っています。
そのためこの記事では、黒糖焼酎の概要や選び方について解説します。
黒糖焼酎について気になっている方、黒糖焼酎の選び方を知りたい方は、ぜひともご参考にしてください。
黒糖焼酎とは
黒糖焼酎とは、サトウキビ(黒砂糖)を原料として作られた焼酎のことです。
奄美群島中心に製造された黒砂糖を使用していることから、「奄美黒糖焼酎」とも呼ばれます。
実際に黒糖焼酎が作られているのは、奄美群島だけです。
大きな黒糖の塊を溶かし、そこに米麹を加えて発酵させる工程などを繰り返して、熟成させて作ります。
産地が限られていることもあって焼酎全体の中でも数パーセントしかない、大変希少性の高い焼酎です。
しかし、一方で蔵元によって使用する水や原料などに違いが出るため、銘柄ごとに違った味わいが楽しめるのも大きな魅力だと言えるでしょう。
大量の黒糖を使っているため「甘い」「糖質が高い」などのイメージを持っている方もいるでしょうが、実はそんなことは全くありません。
焼酎はキリっとした後味のキレが特徴的なお酒であり、あくまでも蒸溜酒であるため甘い香りや風味だけを抽出していて糖質やプリン体が全く含まれていないのが特徴です。
正に、カロリーや健康を気にしている方には最適だと言えるでしょう。
また焼酎には血栓を溶かす効果があるといわれていますが、長寿で有名な泉重千代さんは120年という歳月を生きておられましたが毎晩黒糖焼酎を水で割り、お燗で飲んで居たようです。
適量に楽しみ、健康で居られる。こんなお酒呑みになりたいですね。
歴史
歴史をさかのぼると、奄美群島では第二次世界大戦まで、泡盛の製造が中心でした。
しかし戦時・戦後の米不足により、米を使用する泡盛の製造が難しくなってしまいます。
さらに奄美群島は、第二次世界大戦における日本の降伏以降、連合国軍の支配下に置かれていました。
そしてアメリカ軍の統治により黒糖の移出が規制された奄美群島の島民は、米の代わりに黒糖を原料とした黒糖酒の製造を始めるに至ります。
しかしその後1953年に、奄美群島を取り巻く状況は大きく変化します。
復帰協定が日米間で調印され、翌年に日本への復帰が実現したのです。
そして日本の酒税法が適用されると黒糖酒には高い税金が課せられることから、奄美群島では再び知恵を絞り、焼酎造りの技術を活用して黒糖焼酎造りが始まったとされています。
奄美の黒糖焼酎には、日本の歴史と奄美群島の方々の知恵・努力が込められているのです。
他の焼酎との大きな違い
黒糖焼酎と他の麦や芋など原料とした焼酎には、大きな違いがあります。
それは、黒糖を使用した蒸溜酒は、酒税法上本来は「スピリッツ(ラム酒)」に分類されることです。
先ほどお話しした通り、ラム酒には本来高い税率がかかってしまいます。
しかし製造場所を奄美群島だけに限り、第一次発酵に必ず麹を使用することを条件とすることで特別に焼酎として認めてられているとの経緯があるのです。
黒糖焼酎が奄美でしか製造されていないことの裏には、酒税法上の理由が隠されているのだと言えるでしょう。
蒸溜方法など、その他の条件は基本的に他の原料を使用した焼酎と違いはありません。
海や山に囲まれた大自然で育ったサトウキビの黒糖をたっぷりと贅沢に使用することで、豊かで甘い香り・風味を楽しめる品となっています。
黒糖焼酎の麹種類
使用されている麹の種類は、主に以下の3つです。
黒糖焼酎に使用されている麹の種類
- 黄麹
- 黒麹
- 白麹
黄麹は、日本酒造りなどによく使用されます。
クエン酸を含んでおらず雑菌に弱いことから、暑い地域での使用には適していません。
従来は焼酎造りに使われることはありませんでしたが、製造技術が発達するに従い徐々に使用されるようになりました。
黒麹は、古くから泡盛の製造に使用されていた麹です。
明治時代に入り、焼酎造りにも使用されるようになりました。
クエン酸が豊富で雑菌に強いことから、高温多湿な地方での酒造りに適しています。
白麹は、黒麹が突然変異したことで誕生しました。
やはりクエン酸が多く含まれており、焼酎を蒸溜するには適しています。
黒糖焼酎の選び方
ここでは、黒糖焼酎の選び方として代表的なものを3つ紹介します。
麹の種類
まず挙げられるのが、麹の種類によって選ぶ方法です。
先ほどご紹介した黄麹・黒麹・白麹は製造における特徴だけでなく、完成した商品の味わいにも深く影響します。
黄麹を使って製造すると日本酒のように芳醇な香りになり、口当たりもまろやかな味わいになります。
蒸留方法にもよりますが3つの中でも最も口当たりが軽く、個性の強い味わいが苦手な方や初めて飲む方にはとてもおすすめできるでしょう。
黒麹を使用すると、深みのある味わいが生まれます。
どっしりとしたコクのある味わいが楽しめるため、お湯割りや水割りなどにしても充分に風味を楽しむことができるでしょう。
キレが良くしっかりとした味わいは飲み慣れた方向けの方も美味しく頂けます。
白麹を使用して蒸溜すると、まろやかで口当たりの良い優しい味わいに仕上がります。
柔らかな口当たりで飽きがこない味わいは、黒麹と比較するとその違いがはっきりと判るでしょう。
初めて飲む方には良いかもしれません。
蒸溜方法
味わいの差を生み出す要素としては、蒸溜方法も見逃せません。
基本的には、蒸溜方法は以下の2つに分類されます。
基本的な蒸溜方法
- 常圧蒸溜
- 減圧蒸溜
常圧蒸溜とは、通常の気圧下で100℃前後までにもろみの温度を上げ、蒸溜する方法です。
もろみの香りが多く抽出でき、複雑で香り強い品に仕上がります。
多くの銘柄が常圧蒸溜で作られており、特に飲みなれている方にはおすすめでしょう。
一方の減圧蒸溜とは、蒸溜器内の気圧を下げ、50℃位の低温で蒸溜する方法です。
もろみの香りをあまり抽出せずに蒸溜することができ、すっきりとした焼酎にに仕上がります。
初めて飲む方やクセが少なく飲みやすい味わいが得意な方は、こちらもお勧めです。
アルコール度数
アルコール度数は、飲みやすさを左右する大きな要素だと言えます。
黒糖焼酎のアルコール度数はおおむね25度~45度程度であり、アルコールの強さや好みに応じて選択するのがおすすめでしょう。
また、度数の低いお酒をそのまま冷やしてストレートで飲むなど、飲み方にも合わせて選択してみると楽しいかもしれません。
アルコール度数が高いお酒を炭酸割りで飲むことも近年では人気があり、自分なりの楽しみ方を見つけても良いでしょう。
黒糖焼酎は初めての方から焼酎好きの方までおすすめです!
今回は、黒糖焼酎の概要や選び方について紹介してきました。
黒糖焼酎に関して理解を深め、お気に入りの一本を探すための良い材料となりましたでしょうか?
黒糖焼酎は甘みのある香りやコクが人気を博しており、飲み方や銘柄次第で焼酎好きの方から初めて飲む方までおすすめできるでしょう。
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