米が原料のお酒といえば日本酒が代表的ですが、実は米焼酎も欠かせません。
日本酒のように、麴由来のうま味やお米の香りがしっかりする味わいのものや、軽快に仕上げ、華やかな香りの焼酎もあり、初めて飲む人でも当たりが良いかもしれません。
米焼酎にはたくさんの種類があるため、どれを選んだらいいのか悩む人も多いでしょう。
そこで本記事では、米焼酎のおすすめや選び方を解説していきます。
米焼酎の基本情報も押さえていくことで、より魅力的な米焼酎を見つけることができるでしょう。
米焼酎デビューがこれからという人は、ぜひ参考にしてみてください。
米焼酎とは
米焼酎が発祥したのは、熊本県南部にある人吉盆地です。
人吉盆地は、米作りが盛んで米焼酎の誕生へとつながったといわれています。
特に人吉の米焼酎は、原産地表示の保護指定を受けており、非常に価値高い焼酎でこれらを球磨焼酎と呼びます。
スコッチ、コニャックやボルドーワイン等と同等の世界的な銘酒なのです。
球磨焼酎の定義とは
米(米麹)のみを原材料とし、人吉球磨の地下水で仕込んだ醪蒸留した焼酎を指します。
500年の歴史は人吉球磨が生んだ伝統的銘酒です。
米焼酎は、すでに16世紀ごろには製造が始まっていますが、年貢として米を納めるようになってからは、焼酎の原料としては引き合わないとされ、米よりも手に入りやすい芋が焼酎の主流となっていました。
しかし時代が進み、再びお米が豊富な時代になり、再び脚光を浴びています。
米焼酎と日本酒の違い
米焼酎と同じく、米を原材料にするお酒といえば日本酒です。
米焼酎と日本酒の大きな違いは、製造工程にあります。
どちらも、原料となる米の澱粉を麹の力で糖や旨味等をつくり糖を酵母菌が食しアルコール発酵します。
米や麹を3回に分けて仕込み健全に発酵させ、醪を搾る醸造酒です。
一方、米焼酎は、蒸留酒と呼ばれ、醪をを加熱してアルコールを含んだ水分を冷やし液体を集めます(蒸留)。
例えば、ウィスキーやブランデーも同じく蒸留酒で、醸造酒よりもアルコール度数が高いのが特徴です。
日本酒のアルコール度数が15%~20%程度なのに対して、米焼酎は大まかに25~40%あります。
このように、原材料は全く同じでありながら、製造工程が異なることで、違う顔を見せてくれるのが日本酒と米焼酎が持つのが魅力の一つです。
米焼酎の風味
焼酎で有名な芋や麦は、独特の香りや味わいや蔵の個性等が人気です。
同じく米焼酎にも米の風味や味わいがしっかりとしたタイプや軽快で華やかなタイプまで様々な味わいがあります。
蔵の個性や味わいもしっかりと楽しめます。
米焼酎の麹の種類
米焼酎を作る上で欠かせない麹は、大きく分けて「黄麹」「黒麹」「白麹」の3つの種類が存在します。
どの麹を使うかによって、味わいも異なってくるので、米焼酎を選ぶ一つのポイントとなるでしょう。
続いては、米焼酎に使われる麹について種類ごとに紐解いていきます。
黄麹
黄麹は、日本酒造りで取り入れられる麹です。
麹の中では最も古くから使われているのも特徴でしょう。
黄麹には、雑菌の繁殖を防ぐクエン酸を作りませんが、近年は温度や衛生管理に関する取組向上から黄麹での仕込みむ酒もあります。
黄麹を使うことで、日本酒を思わせる様な香りが楽しめる米焼酎となり、軽やかな飲み口です。
もちろん蒸留方法によって味わいの深みや軽やかさは変わります。
黒麹
黒麹を活用するお酒としてポピュラーなのは、沖縄の泡盛です。
気温の高いエリアでも腐敗せずに保たれる泡盛から、黒麹は開発されました。
黄麹とは異なり、黒麹はクエン酸を作ることができるため、雑菌の繁殖を抑えられます。
温暖な気候である九州でも、安全に焼酎を作れることから重宝されている麹です。
黒麹を使った米焼酎は、非常にインパクトがあり重厚な存在感を感じさせてくれます。
白麹
黒麹の突然変異で生まれたのが白麹です。
黒麹と同じく、クエン酸を作ることができるため、暖かいエリアでも使いやすい麹といえます。
白麹を使った米焼酎は、クリアな味わいに仕上がるのが特徴です。
現在作られている米焼酎の多くは、この白麹を使って製造されています。
使用する麹による違いもありますが蒸留方法、貯蔵期間をはじめ蔵ごとの特徴が味に表現されています。
米焼酎の選び方
麹の違いも十分米焼酎を選ぶ際のポイントとなりますが、そのほかにも見逃せない選び方があります。
特におすすめしたい選び方が、米の品種と産地、そして蒸留方法です。
それぞれのポイントを押さえておくと、自分の好みに見合った米焼酎を選びやすくなるでしょう。
米焼酎の原料米は?
日本酒の様に山田錦等、酒造り専用の酒造好適米を使用する米焼酎もありますが、稀で人気なのは九州で栽培されている食米の「ヒノヒカリ」という品種です。
そのほか、「コシヒカリ」などの米が使われることもあります。
日本酒の様に様々な酒造好適米の品種がある訳ではなく、大方、ヒノヒカリが主流になり新米にこだわって醸す蔵もあります。
また日本酒の様に沢山磨いた米焼酎もありますが、米の特徴を活かす為にあまり磨かず(精米歩合85~90%)で焼酎を仕込み、米の風味や特徴をしっかりと表現します。
産地で選ぶ
米焼酎は、米どころで多く作られる焼酎です。
米を主食としている日本では、全国各地で広く米焼酎を作る蔵元があります。
日本酒を作る酒蔵で米焼酎を作っているケースも多いでしょう。
一方で、米焼酎だけを作っているエリアもあります。
それが、熊本の球磨地方の「球磨焼酎」です。
球磨焼酎は、実に500年を超える歴史があり、芳醇な香りと深みある味わいお米の風味ががの米焼酎の醍醐味なのです。
蒸留方法で選ぶ
米焼酎を作る大切な過程である蒸留方法は、「常圧蒸留」と「減圧蒸留」の2パターンに分かれます。
昔から使われている蒸留方法が常圧蒸留です。
蒸留機の中で沸騰させたもろみを、通常の気圧のままで蒸留します。
こうして作られた米焼酎は、米の風味がしっかりと引き出される上に、米自体が持つうま味が出るのが特徴です。
そのため、しっかり味わいが強い米焼酎に仕上がります。
米焼酎を湯割りで楽しみたい人や、米が持つ深みを感じたい人におすすめの蒸留方法といえるでしょう。
味わいに深みやまろやかさをしっかりと整えるにはこの後の熟成が大切です。
蔵ごとに異なりますが、新米、常圧蒸留、熟成がポイントです。
一方で、減圧蒸留は常圧蒸留と比べて低い温度で蒸留する製造方法です。
気圧を下げることで、水の沸点が50度前後で沸騰するようになります。
こうして低温での蒸留を行い、雑味が出にくくすっきりとクリアな米焼酎に仕上げていくのが特徴です。
米焼酎を初めて飲む人には、減圧蒸留の飲みやすい米焼酎も良いでしょう。
米焼酎は産地や米の種類も見逃せない
いかがでしたでしょうか。
この記事をご覧いただくことで、米焼酎のおすすめがおわかりいただけたと思います。
米どころである日本において、米焼酎も魅力的なお酒です。
また、米の種類や産地によって米焼酎の味わいが変わる点も、米を愛する日本ならではといえる楽しみ方といえるでしょう。
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