日常的に楽しめるお酒には様々な種類があり、好みやシーンに合わせて楽しむことができます。
そんな中、お酒が好きな方で日常的に楽しみたいと思っている方が多いお酒のひとつが「芋焼酎」。
焼酎の魅力はお湯で割ったり、水や炭酸で割ったり、ロックで飲んだり、何より予め水と焼酎で割って寝かせた(前割り)をお燗したり冷やしたり、
多様な飲み方が出来る事が最大の魅力です。
飲み方(温度や割り方・割度合)や酒の肴を変えて楽しめば、同じ酒でも更なる楽しみが広がります。
日常の晩酌酒で癒される酒、原酒をチビチビやったりカクテルの割材としたスタイルまで様々な多様性が焼酎の虜にされるのでは無いでしょうか。
数ある焼酎の中でも今回は芋焼酎について簡単にお話致します。
Contents
先ずはマメ知識
焼酎は大きく2種類のタイプに分かれます。
蒸留とは
そもそも蒸留とは何かご存じですか?
醪(液体)を加熱し、揮発させて蒸気を冷却して液体にする方法です。
蒸留酒というカテゴリーで他にウイスキーやブランデー、ウオッカやジン、ラム、テキーラ等も同じ蒸留酒です。
この蒸留の方法により、タイプが分かれているのです。
単式蒸留焼酎
「発酵している醪を蒸留釜で熱し、アルコールを含んだ蒸気を冷却してお酒になる」
というシンプルで基本的な蒸留方法で、出来上がるお酒は45度以下です。
芋や麦、米、黒糖、酒粕やその他指定成分を米や麦等の麹を作り発酵させ、蒸留した酒が本格焼酎と呼ばれます。
連続式蒸留焼酎
糖蜜等の原料を発酵させ連続して蒸留を行い純粋なアルコールを取り出します。
主にチューハイやサワー等の割材として使用されることが多く、度数は36度未満です。
本格焼酎の蒸留手法の種類
単式蒸留で行う以下の手法です。
常温蒸留
最もオーソドックスな蒸留手法です。
蒸留する醪を熱し、気化した蒸気を冷却して液化する手法ですが、蒸留釜の中は名前の通り通常気圧であり、約100度近い沸点で蒸留します。
高い沸点の成分を気化させ原材料の風味をしっかりと取出した蒸留手法であるため、原材料の芳醇で風味豊かな事が特徴です。
減圧蒸留
名前の通り、蒸留釜の中の気圧を下げて蒸留する手法です。
50度程度で沸騰し気化した蒸気を冷却し液化します。
高い山でお湯を沸かすと沸点が低いことをイメージすると良いでしょう。
蒸留する際の沸点が低いので、取出す成分が限られ、軽やかで軽快な味わいや香りが特徴になります。
芋焼酎とは
芋焼酎とは芋(サツマイモ)を主原料にして作った焼酎。
主な産地は鹿児島、宮崎、八丈島等です。
常圧蒸留のしっかりした味わいや減圧蒸留の軽やかタイプをはじめ華やかな香りのタイプまで様々です。
原料に用いるサツマイモの品種や麹(こうじ)の種類はもとより、
蒸留、貯蔵時の管理、ブレンドや熟成手法、熟成期間によっても味わいに違いがでます。
芋の種類
芋焼酎に使われる芋の種類には、以下のようなものが挙げられます。
芋焼酎の芋たち(一部)
- 黄金千貫 (最もオーソドックスな原料芋)
- ジョイホワイト (白芋)
- 宮崎紅 (紅芋)
- 紅さつま(紅芋)
- 玉茜(オレンジ芋)
- ハマコマチ(オレンジ芋)
- ムラサキマサリ(紫芋)
- 種子島ゴールド(紫芋)
芋焼酎といえば代表格といえる黄金千貫は外せません。
黄金千貫は黄金色の皮と淡黄色の色合いをしています。
一般的には収量が安定していて、でんぷんの含有量が多く芋焼酎製造の中心的な原料芋です。
甘さや香りのバランスに優れ、芋焼酎が多くの方々に親しまれるベースとなった芋です。
またジョイホワイトも多収に優れ、でんぷん含有量も多く、爽やかな香りが特徴です。
紅芋の紅さつま、宮崎紅は共に同一系統の品種より選抜され皮の赤さが目を引きます。
柑橘っぽさや蜜を思わせる香りが特徴です。
玉茜やハマコマチ等のオレンジ芋は香りにも注目できます。
紅茶やトロピカルなフルーツなどの香りを感じられるのです。
これはオレンジ芋ならではの特徴と言えます。
紫芋といえば色素用として開発された芋ですが、アントシアニンをたっぷり含み、赤ワインの様な香りも感じる事が出来ます。
ネーミングが赤~と銘々されお馴染みなのではないでしょうか。
オレンジ芋にしても紫芋でも蒸留後は色合いを表現出来ませんが、鮮やかな醪の色合いにも惹かれます。
ここに記載している芋品種はほんの一部ですが、黄金千貫一筋の蔵もあれば、品種違いで様々な焼酎がリリースされ、
各蔵が工夫を重ねしっかりと特徴や個性を表現しています。
麹の種類
麹は糖化酵素をつくり芋のでんぷんを糖に変える働きを持ったカビ菌のこと。
ブドウ糖に変えて酵母のエサとなりアルコールと炭酸ガスを作り出し発酵してゆきます。
クエン酸を生成し、気温の高い南九州で焼酎製造時に雑菌の繁殖を防ぎ安全醸造へ導きます。
主に芋焼酎で使用される麹は、以下の3種類です。
芋焼酎で使用される麹
- 黒麹
- 白麹
- 黄麹
黒麹
暑い沖縄で泡盛を参考に、明治43年河内源一郎氏が研究し分離・培養に成功。
大量のクエン酸を作り出すので、雑菌の繁殖を防ぎ、気温が高い南九州で酒造りに適した麹として重宝されています。
芳醇でボディのしっかりとした味わいが特徴です。
白麹
「白」ですが、実際の色は黄緑色に近いのでないでしょうか。
大正13年に黒麹からの突然変異で生まれた白麹を河内源一郎氏が発見し、研究、培養。もちろんクエン酸を生成。
味わいは黒麹と比較するとソフトで柔らかな味が特徴です。
黄麹
元来は黄麹のみ存在。主に清酒用麹として使用。
クエン酸を生成せず、雑菌への抵抗力は弱いので、黒・白麹出現後は焼酎の製麹では稀な存在になりましたが、異なった酒質追及の為、
少しずつ取組み始める蔵も出てきました。
芋焼酎の選び方
芋焼酎の選び方を様々な角度から紹介します。銘柄だけに左右されない自分流の探し方の参考にしてみてください。
飲み方で選ぶ
様々な飲用スタイルができるのが芋焼酎の特徴です。
お湯割りが飲みたい場合
原材料の風味をしっかりと感じる常圧蒸留タイプがお勧めです。
味わい、個性しっかり黒麹タイプやマイルドで優しくソフトな白麹タイプなど様々。
一部の夏焼酎や新焼酎といわれるものからしっかりと熟成をとっているものまで様々。
お湯割りと上手に付き合うことが出来るとより一層、焼酎が楽しくなります。
水割で飲みたい場合
軽やかに感じる減圧タイプや、常圧、ソフトで優しい白麹タイプ等が映えるのではないでしょうか。もちろん季節焼酎も最適です。
炭酸割で飲む場合
黒麹しっかりタイプよりも、オレンジ芋など華やかタイプや減圧蒸留(軽やか)タイプがお勧めです。25度や20度のみならず、30度、35度も良いかと思います。
ロックで飲む場合
減圧ライトタイプや芋の華やかさ、柑橘等の香りがするタイプ等、反対に黒麹のしっかりとしたタイプを選んでも良いでしょう。
冷たいと味わいや香りを感じにくくなるのでわかりやすい香りや味わいタイプが良いかもしれません。
おいしい飲み方のまとめ
その他にもおいしい飲み方がいくつかあります。
例えば前割やストレートなど、様々あります。
こちらの記事では芋焼酎のおいしい飲み方をまとめて解説しておりますので、是非ご参照ください。
味わいで選ぶ
- 蒸留方法で選ぶ
- 麹の種類で選ぶ
- 芋の味わい、品種で選ぶ
などなど…
しっかりとした味わいの芋焼酎を飲みたい場合は常圧蒸留の黒麹を探したり、
芋の風味は豊かでややソフトな焼酎をお探しならば、常圧蒸留白麹タイプを選んだり、
軽やかに炭酸割で飲みたいならば常圧蒸留白麹で香り豊かな芋のタイプを選んだり、減圧蒸留タイプを選んだり、
蒸留手法や麹の品種、芋品種など組み合わせて探すと更に広がります。
専門店の様な販売店や飲食店さんではぜひ伺ってみてください。きっとお店お勧めの美味しい芋焼酎に出会えますよ!
度数で選ぶ
20度や25度以外にも、38度や44度の原酒タイプをお湯で割って美味しく飲んだり、
キンキンに冷やしてトロミを楽しんだり、ちびりちびりやりながら味わいを楽しんだり…
予め14度台まで割り商品化するなど、商品としてのバリエーションも広がっています。
ほかに、焼酎の原酒というものがありますが、原酒の世界は焼酎独自の楽しみ方(お湯や水で割る)だけでなく、
ストレートでじっくりと香りや味わいを楽しむなど奥が深いです!
産地や価格帯、季節スポット酒で選ぶ
宮崎県のレギュラー酒は20度が中心ですが、対する鹿児島県は25度が主流など、
隣県でもレギュラー酒の度数が異なっていたり(密造防止の為に各蔵へ25度以下の製造が認められ宮崎県は20度が普及した背景)、
同一蔵のレギュラー酒に対して、同一蔵のより付加価値高い酒を選択して飲み比べてみるなど、楽しみ方は様々です。
また近年は様々な季節スポット酒や企画酒が各蔵より発売される様になりました。
夏を楽しむ夏焼酎や、秋以降は蒸留したての新焼酎など様々な焼酎が販売されています。
お気に入りの芋焼酎を探してみましょう!
今回は、芋焼酎の種類やおすすめの選び方について紹介してきました。
ご自身にとって最適な芋焼酎を選ぶための方法を見つけ出す良い材料となりましたでしょうか?
芋焼酎には様々な種類・価格や旬のスポットやお勧めがあるので色々探してみてください。
酒のはしもとでは、店主がしっかりと選んだ焼酎や純米酒を多数販売しております。
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